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アウトドアガイド 金村孔介(南富良野)│FOCUS vol.3 後編

2016/07/20

目指しているのは山も、川も、森も案内できるガイド。 そんなオールラウンドな指向性はどのように育まれてきたのだろうか。 北海道の自然に囲まれた仕事と、そのやり甲斐に迫ってみた。

FOCUS vol.3 前編中編

シーソラプチ川でのダッキーツアー。流域にダムや堰がなく自然のままの川下りを楽しめる

シーソラプチ川でのダッキーツアー。流域にダムや堰がなく自然のままの川下りを楽しめる

ガイドの仕事とは何かその喜びと難しさ

─どんころに入って、最初の仕事は何でした?
「最初はラフディングです。春から秋は川のツアーが一番多いんです。なので、ラフティングガイドになれなければ仕事にならない。1年目はそれで精一杯でした。2年目からカヤックを始めたんですが、それで肩を脱臼してしまったんです。7月の一番忙しい時期にね。それで川のガイドはしばらくお休み。で、登山の方を手伝いました。肩を痛めても歩けるので……。8年前のことです。それが登山やトレッキングのガイドを始めるきっかけでした」

─当時の登山経験は?
「もともと学生時代のクライミング仲間たちと八ヶ岳に登ったりしてたんです。ただ、登山って基本的に歩くだけじゃないですか。カヤックやクライミングと違って、若い体力を激しく発揮させるものではない。当時はそう思っていて、正直、面白みは感じていなかったんです。それが初めて北海道の山に登ってみたら……、これが良かったんですね(笑)」

─どこが良かったんですか?
「鮮明に覚えてるのは、空と雲の美しさです。最初、トムラウシ山のトレッキングツアーに同行したんです。ボクにとっては初めて登る山だったんですが、歩き始めて4時間くらいするとコマドリ沢というボウル地形を登るんですが、その時、顔を上げると、青空の中を雲がすごい勢いで流れてた。おぉ〜、山っていいなぁって、その時初めて思いました」

─光景が目に浮かぶようです。
「あと、先日もお客さんと意気投合したんですが、山に登ると脳が活性化される気がします。歩いている最中は、必ず何かを考えていますよね。仕事のことや将来のこと、家族のこと……。いろいろ考えてると頭がリセットされるようで、仮に悩みごとがあってもすっきりクリアになるんですよね」

シーソラプチ川源流部。下っても登っても癒されるこの川は、金村の身近にありながら、尊い特別な存在でもある

シーソラプチ川源流部。下っても登っても癒されるこの川は、金村の身近にありながら、尊い特別な存在でもある

─トレッキングガイドが忙しいのは、やはり夏ですか?
「そうです。6月から少しずつ山のガイドが始まるんですが、7月からお盆時期までが最盛期です。7月はだいたい25日くらいガイドしてるかな」

─ほぼ連日ですね。
「休みが半日だけ、とかいう時期もありますよ」

─体と心に相当な負担が掛かるんじゃありませんか?
「う〜ん、腰が少し痛いとか、若干キツイかなって日はありますけど、家に帰ってくる時間が早いですし、風呂入って、ビール飲んで、メシ食って、寝てしまえば、次の日は大丈夫です(笑)」

─何時に寝るんですか?
「毎晩8時半には寝てます。で、起床は5時半頃」

─同じルートを何度も登り下りして飽きませんか?
「何度も何度も同じ道を登っているから、自信を持ってお客さんをガイドできる、という部分はあります。平常心で臨めますからね」

─仕事だから、と。
「それ以上に、お客さんと一緒に話をしながら登っていると、いつも思わぬ反応に出合えます。あぁなるほど、そういう見方もあるんだなって。お客さんから新鮮さを分け与えてもらってるんです」

─それがガイドという仕事の楽しみにも通じますか。
「その通りですね」

─ガイドをしていて、良かったと思う瞬間は?
「お客さんからお礼の手紙をいただいた時でしょうか。ツアーを終わった後に、面と向かってお礼を言われると少々照れるんですけど、後から手紙を頂戴すると嬉しいですね。お客さんは遠くから時間とお金を使って来ていただくわけじゃないですか。それに対して私たちが精一杯取り組んだことで、喜んでいただけている。いい時間を過ごせたんだなと思うと、ほんとに嬉しいですね」

─逆に、ガイドをしていて難しい場面とは?
「悪天候時の判断と対応です。これは、山でも川でも同じことです。判断を誤れば事故につながるでしょうし、それはガイドとしてあってはならないこと。  一番難しいのは、中止にするほどではないレベルの悪天候です。そんな状況でもお客さんは行きたいのかどうか、ということがまずあります。それでも、やるとなったからには満足させたい。それには自分の技術、知識、経験すべてを動員します。ものを見る感性だったり、違う角度からの見る考え方だったり……。そのあたり、まだ自分には足りない部分だと思いますので、毎日が勉強ですね」

人がほとんど足を踏み入れることのない湿原

人がほとんど足を踏み入れることのない湿原

─別のフィールドで活動しようと考えたことはありませんか?
「海外も含めていろいろ旅してきましたけど、どうも南の島には馴染めない。なぜか、北の方がしっくりくるんです(笑)。会社に雇われている立場なので、すべてが自由にやれるわけではありません。それでも、やりたいガイド業をやらせてもらっているし、ここでキッチリやれないのなら、他に行っても同じかなと。人生は1回しかないわけで、あれこれ求めるには時間が足りないと思います」

─南富良野はガイドが暮らしやすい土地だと聞きましたが。
「川も素晴らしいし、森も奥深い。いい仲間もいる。まあ、ガイドをやめていく人も多いんですけど、定着している人は皆、地域に密着して、ここで子どもを育てて生活していく。そんなスタイルですね。買い物に行くのも遠くて、不便な土地ですけど、苦にはならないですね。近所に飲み屋がないことぐらいで……。まあ、酒好きの自分としては、そのくらいがちょうどいいのかなと(笑)」

Text / Chikara Terakura
soto5号(双葉社スーパームック)より転載


金村孔介
かなむらこうすけ●宮城県出身、37歳。北海道南富良野町にある「どんころ野外学校」所属。アウトドアガイド。山も川も森も案内できるガイドを目指し、夏は登山にラフティング、冬はバックカントリースキーなど幅広くガイドしている。
コロンビアスポーツウェアジャパン・アンバサダー。日本山岳ガイド協会認定登山ガイドほか資格多数。

Impression 金村孔介のアイテム

タイムトゥトレイルコンバーチブルパンツ PM4412(旧品番)

初めて触った時の柔らかい質感に驚きました。はいていてもサラサラで汗をかく夏山登山でも快適です。どうしても暑いときはコンバーチブルのチャックをベンチレーション代わりにしています。 生地が(薄く?)軽いので沢の渡渉で濡れてもすぐに乾かすことが出来ます。また伸縮性もバッチリで動きを妨げません。夏の忙しい時期は、ヘビーローテーションで働いてもらってます。


2016/07/20


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