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【ALPINE CLUB】事前対策と早めの対応を。低体温症とウェアリング机上講習レポート

2016/12/21


MOUNTAIN HARDWEAR ALPINE CLUBの第三弾「低体温症とウェアリング机上講習」。今回も杉坂勉ガイドをお招きし、マウンテンハードウェア原宿店にて机上講習を行いました。


遭難事故などでよく耳にする「低体温症」。体が冷えて動けなくなり、重大な事故につながりかねない症状です。特に冬山に行くとそのリスクは高まるので、事前の予防と症状が出たときの対処法は、是非覚えておきたいところです。


はじめに杉坂さんより、低体温症の原因、予防と対応策について講義して頂きました。私も昔、低体温症になり動けなくなった方を介抱した経験がありますが、どうしたらよいかわからないことも多くありました。自分自身が低体温症にならないことも重要ですが、一緒に行った仲間や周りの登山者が発症した場合に、どう対処したらよいかを知ることも重要だと思いました。要点をまとめたものになりますが、講義の内容を少し紹介させて頂きます。


低体温症とは、寒冷な気温や風雨などにより体が冷やされ、熱の生産も追いつかず、だんだん体も動かなくなってくる症状です。体の表面の冷えというよりは、コア温度という体の内側の温度が下がることによって発症します。

では、どのような原因によって体の中のコア温度下がるかというと、大きく3つあり、寒さ、濡れ、風になります。寒さは、気温が低いこともありますが、雨や風にさらされることによって下がる体感温度も影響します。濡れについては、雨や雪など外部からの濡れもありますが、発汗や蒸れによるものもあります。風が吹くことによって体も冷やされ、一般的に風速1m/秒につき体感温度も1℃下がると言われています。

その他にも、体力がない方、年配の方や子ども、疲労が激しい状態、高所、脱水症状、タバコやアルコールの摂取などが発症のリスクになります。


低体温症が発症すると、①強い疲労を感じ始め→②注意力の散漫、周囲への無関心、記憶力の低下といった症状が出てくるそうです。この段階で、フラフラしてまっすぐ歩けなくなり、体の震え(シバリング)が起こってきます。 さらに悪化すると、③自力で立てなくなり、意識が朦朧となります。体の振るえ(シバリング)がなくなるとさらに体温が低下し、意識がなくなります。


まず、低体温症を疑う症状が疲労感です。バテただけと勘違いするケースが多いそうで、寒さ、濡れ、風のある状況の中での疲労感なら低体温症を疑いましょう。
杉坂さんが低体温症を早い段階で対処するために目安にしているのが、体の振え(シバリング)だそうです。よく寒いときに体が震えてくると思いますが、これがシバリングで筋肉を動かして熱を発生させようという生理現象です。この段階なら現地での対応が可能で、防寒着を着たり、濡れたものを着替えたり、温かいものを飲んだりして体を温めていきます。
ただ、このシバリングが止まってしまうと体温がさらに低下し、意識も朦朧となってきます。こうなると現地での対応は不可能になるので、設備の整った医療機関への緊急搬送が必要になります。

そうならないためにも低体温症に対する事前対応が必要です。対策として重要になってくるのが、水分・エネルギー補給ウェアリングになります。
水分とエネルギーの補給は、体を動かし熱を生産するために欠かせません。雪山ではなかなか喉の渇きを感じにくいですが、呼吸をしているだけでも水分は失われていくそうです。夏山同様、冬山でも小まめな水分・エネルギーの補給が大切です。

ウェアリングをしっかりすることで、寒さ、濡れ、風から身を守り、低体温症になるのを防ぎます。基本となる考え方は、ベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤーと重ね着で対応していくこと。
ベースレイヤーは一番下に着る肌着で、重要なことは効率的に汗を吸って、乾きが早いこと。肌に接する部分が濡れてしまうと、そこからどんどんと体温が奪われてしまいます。冬山でも行動中は汗をかきやすいので、吸湿速乾機能はとても重要です。
杉坂さんのオススメは、ウール素材のアンダーウェア。ウールは多少濡れても保温効果が落ちにくく、冬山で重宝します。

ミッドレイヤーは、ベースレイヤーとアウターレイヤーの間に着る中間着で、役割は保温効果を持たせること。行動中は暑くなるのでフリースなど、冷え込む時には、ダウンジャケットや中綿入りジャケットを着用します。休憩時やクライミングのビレイ時にダウンジャケットを着ますが、アウターを脱いでから着るのも面倒なので、そのままアウターの上から着てしまうのもオススメです。

杉坂さんの一押しアイテムが、ゴーストウィスパラーフーデッドダウンジャケット(ウィメンズモデルはこちら)。ポケットにコンパクトに収納でき、使いたい時にさっと着れ、シーズン問わず使えます。バックパックの中に入っている率が一番高いウェアだそうです。

アウターレイヤーは、雨や雪、風を防ぐ役割になります。雪や風を防ぐ防水性、防風性も重要な機能ですが、それだけでなく蒸れを外に逃がす透湿性や換気機能もしっかり持ったアウターを選ぶことが重要です。蒸れをそのままにしてしまうと、中のウェアが濡れてしまったり、気温が低い冬ではウェア内が凍り付いてしまうこともあります。
杉坂さんがオススメするのが、ドライQエリートを採用したもの(今シーズンでは、セラクションジャケットクエーサーライトパンツがあります)。高い透湿性があり、快適に行動でき、今までウェア内が凍ることも無かったそうです。ウィンターコヒージョンジャケットウィンターコヒージョンパンツも、換気機能が充実しているので、効率的に蒸れを逃がすことができます(製品レビューはこちら)。

他にも重要なアイテムがグローブ。末端は冷え易いので、しっかり温めておくことが必要です。
ただウェアもそうですが、登山口から山頂の間では気温やシチュエーションが違うので使い分けも重要になってきます。参加されたお客様からの質問で「アウターグローブが濡れて凍り付いてしまう」という悩みがありました。 杉坂さんは、登山口からのアプローチは薄手のグローブ、標高が上がり少し寒くなってきたら中厚手のグローブ、山頂や稜線にアタックする時にオーバーグローブをつけるというように使い分けているそうです。標高が上がれば気温も低いため、グローブに雪がついても溶けにくいので凍りつかなくなります。オーバーグローブはなるべく温存し、濡らさないようにするそうです。

バラクラバやニット帽も頭や顔、耳を守るのに重要なアイテムです。頭部は脂肪がなく、体の中でも体温が奪われ易い場所なので、ニット帽でしっかりと守る必要があります。風の吹きつける稜線では、肌が見えている部分が冷やされ、凍傷になる可能性があるので、なるべく覆い隠す必要があります。


ウェアリングで大切なのは、面倒がらずに小まめに脱ぎ着をして体温調節をすることです。着込みすぎて汗や蒸れでウェアを濡らすのも、薄着になりすぎて体を冷やすのも、どちらも低体温症の危険が増してしまいます。バランスのいいウェアリングを心がけ、低体温症のリスクを未然に防ぐのが重要です。 少し難しい話でしたが、今シーズンにすぐに役立つ内容で、次回の山行から意識して取り入れていきたいと思います。


MOUNTAIN HARDWEAR ALPINE CLUB、次回は来年2月を予定しています。 八ヶ岳・赤岳での実践的な雪山での歩き方、ピッケルワークの講習ですので、本格的な雪山へチャレンジしたい方にはオススメです。詳細決まり次第、MOUNTAINHARDWEAR ALPINE CLUBのページマウンテンハードウェアのFacebookでご案内していきますので、是非チェックしてみて下さい。

2016/12/21

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