TRANSIT 08 カンボジア特集 traveling Around the World Top TRANSIT.ne.jp

第8回 カンボジア 1ページ目 2ページ目

日本からカンボジアへは、直行便がないため、基本的に経由便。今回は大韓航空を利用。韓国まで2時間半、そこから6時間のフライトでカンボジア第2の都市シュムリアップへ到着。タラップを降り、まず私たちを迎えてくれたのは、東南アジアらしい蒸し暑い空気。数分で薄らと汗がにじんだ。この日はフライトの疲れをとるためすぐさま宿へ。次の日、乾季らしく晴れ渡った空のもと、アンコール遺跡群を巡る。アンコールワット、バイヨン寺院、タ・プローム、プノン・バケン……。古の文化を見て、耳いて、そして肌で触れた。一夜明け、朝日を拝んだあと、東南アジア最大の湖、トンレサップ湖を目指した。

宿を出て、ひとまず旅の起点となるシュムリアップの街を行く。果物から服、雑貨、お土産まで何でも揃うオールドマーケットが買い物心をくすぐる。しかしここで荷物が増えても仕方がないので、ちょっと我慢。カンボジアだけでなく、他の東南アジアの国にも共通していいことがひとつある。それは、移動の足に困らないこと。歩いているとバイクタクシーやトゥクトゥクのドライバーから乗って行かないかと次々に声をかけられるからだ。その中の一台と交渉し、目的地のアンコール・ワットへ向かった。

アンコール・ワットに着き、はやる気持ちを押さえ中に入る。写真や映像では何度も見ている有名な世界遺産建築なだけに、ある程度予想はしていた。が、実際に目にするとその雄大さに圧倒される。無数に壁に刻まれた「デバダー(女神)」や叙事詩「ラーマーヤナ」のレリーフが古代クメール人の美的化感覚と技術の高さを語り、遺跡の前の池には仏の花である蓮が、ピンクの花を咲かせていた。水に映ったワットの姿も相まって、この世のものとは思えない美しさをはなっていた。

アンコール・ワットの次にやって来たのはバイヨン寺院。古の時代に王都として栄えたアンコール・トムの中心に鎮座する寺院遺跡だ。この遺跡内にある49の塔と5つの塔門には四面仏の彫刻が施されており、他に類を見ないとあって人々の関心を集めている。アンコール遺跡の多くが中心に行くほど高さが高くなる構造をとっているがこの遺跡も例に漏れない。急な階段を這うようにして登り、なんとか中心部にたどり着く。気温が上がってきたせいもあり、汗が額からつたう。まだまだ先は長いので、細かい装飾が施された窓でひと休み。この窓からの風景はどれほど変わったのだろうか?数百年前に思いを馳せた。

もう少し悠久の世界に浸っていたかったが、いつまでもとどまるわけにはいかないので、次なる場所へ向かう。訪れたのはタ・プローム遺跡。今までの二つの遺跡とはどこか漂う雰囲気が違う。明らかに樹の数が多い。しかもどれも大樹と言っても過言ではない大きさだ。奥へ進むとこの遺跡独特の光景が現れた。樹が遺跡をのみ込んでいるのだ。蛇のように絡みつき、今にもその体内に取り込もうとしているかのようだ。人間が造り出したものはいつかは朽ち果てる。どう逆立ちしても自然に人間は勝つことはできない。目の前の光景はそう語っているようだった。

タ・プロームを奥へ進むと素敵な出会いが待っていた。遺跡のかなりの部分が崩れ、進入禁止となっているため、内部は迷路のようになっている。右へ左へと進んだある通路でひとりの女の子と出会った。3、4歳だろうか。一目でその愛らしさに目を奪われてしまった。右手にフルーツ、左手にはキャンディーという欲張りな様を見て思わず笑ってしまった。そんな私を見て女の子もにっこりと笑ってくれた。それだけでまとわりつく蒸し暑さも、べとつく背中の汗も気にならなくなってしまった。

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