コロンビアは、札幌市が締結した包括連携協定に基づき、持続可能なアウトドア文化を育む試みのひとつとして、2026年7月7日、札幌市役所庁舎ロビーにて「Columbia OUTDOOR ACADEMY 2026 セルフレスキュー(無料)」を開催しました。
本イベントでは登山初心者を対象にし、テーマを誰もが不安を抱く「もしもの時の備え(セルフレスキュー)」に設定。
単なる知識の共有だけでなく、現場を知り尽くしたプロによる「タクティカルな技術」を習得することで、実際に役立つ技術を身につけることを目的として開催されました。ここではプログラム当日のようすを写真をまじえながらレポートします。
会場となった札幌市役所庁舎1階ロビーには、24名の熱心な参加者が集結。受付では参加者全員にコロンビアのオリジナルバンダナが配布。バンダナは後の実演パートで重要な「救急ギア」にもなります。
前半パートの講演では、札幌市南山岳救助隊・隊長 金子剛大氏と、りんゆう観光の山岳ガイド・植田拓史氏による座談会形式で進行されました。前提となる計画や心構えのほか、登山での装備を中心に紐解いていきます。
汗冷えというリスクの排除: 多くの初心者がアウターに意識を向けますが、植田氏は「ベースレイヤー(肌着)こそが最重要」と断言します。停滞時の体温低下を防ぐための吸汗速乾性の重要性は、安全登山の定石です。
渇きを感じる前のタクティカル補給: 水分補給も「喉が渇いてから」では遅すぎます。疲労を最小限に抑え、判断力を鈍らせないための具体的な摂取タイミングが伝授されました。
バックパック(ザック)の最適解: 「最初に何を買えばいいか」という問いに対し、日帰り登山を想定した「20〜30L」という具体的な容量を提示。数字で示すアドバイスは、参加者から「準備の迷いがなくなった」といった反響を呼びました。
昨年から大幅にアップデートされた展示コーナーでは、実際のレイヤリングやトレッキングポール、そしてファーストエイドキットの内容物を手に取ることが可能に。「実物の重さ・大きさ」を知ることで、現場に即した理解を深めます。
後半は、札幌市消防局南消防署・南山岳救助隊による、アクション満載の実演セッションです。
金子隊長は、もしものときに備えるための救助要請の流れだけでなく、脱水や熱中症、低血糖が引き起こす危険性に加えて119番通報時の「位置特定」についても踏み込みました。登山アプリや地図アプリを駆使した現在地特定と、捜索の早期発見を支えるための「バッテリー温存術」など、現代の登山者が備えるべきITリテラシーについても具体的な言及がありました。
実演では、限られた装備を活用する「セルフレスキューの真髄」が披露されました。
バンダナとポールによる固定: 捻挫や骨折を想定し、配布されたバンダナと登山ポールを副子(添え木)にする技術。
直接圧迫止血: 出血部位を的確に抑え込む、迅速な初動の処置。参加者の「なんとなく」というイメージが、実演を通じて「手応え」に変わっていきます。手際の良さはもちろんのこと、包帯を固定する位置を傷口と被らないようにするといった細かい配慮は救助隊ならではの「現場の知恵」でした。
満足度4.7点。参加者の意識を変えた「実技の力」
事後アンケートでは、5点満点中「4.7点」という満足度を記録。初心者たちのコメントからは、漠然とした不安が、具体的な「備え」への意欲に変わった様子が読み取れました。
「リュックの容量や水分の取り方など、数字に基づいたアドバイスが非常に腑に落ちた(40代・男性)」
「エマージェンシーキットは持っていたが、使い方が曖昧だった。実際に手を動かしたことで、もしもの時のイメージができた(30代・女性)」
「セルフレスキューを学んだことで、逆に登山のハードルが下がり、挑戦する勇気が湧いた(40代・女性)」
今後の展望:さらなる「アカデミックな知」への期待
本イベントは、行政との連携による「市民への安全啓発」と、コロンビアブランドの「信頼性向上」を両立させました。札幌の豊かな自然を背景に、だれもが「技術」というお守りを持って山へ向かえる環境づくりを少しずつ進めています。
今後9月には初心者向けの講習が札幌市・円山で実施されるほか、10月には藻岩山縦走ツアーが予定されています。
詳細は公式サイトから