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ウェアの機能でよく目にする「撥水(はっすい)」 「防水」「耐水圧」っていったい何?

2019/05/27

雨の時期やフェスやキャンプ、登山などアウトドアで活躍するレインウェア。
レインウェアだと思って着ていたら水が浸みて……実はウィンドブレーカーだった! なんていう経験がある人もいるのでは!?
服や足元が濡れると体が冷え、楽しいフェスやキャンプもそれどころではなくなりますよね。
登山などのアクティビティでは低体温症を引き起こすなど命の危険も関わってきます。
なんにせよ、外遊びではレインウェアは必須!

とはいえ、いざレインウェアを買おうと思っても、価格帯も幅広く機能面でも違いがあるため、基礎知識を身につけてから選ぶのがおすすめです。
ということで、まずはよく目にする「防水」と「撥水」の違いからしっかり理解してみましょう。
今回はコロンビアで長年、商品開発に携わってきた商品部の岩瀬さんにお話を伺いました。

撥水と防水の違いとは?

ーーウェアの機能にある「撥水」とは何ですか? 防水とどう違うんでしょうか。

岩瀬さん:撥水は、生地表面につく「水をはじくこと」を指します。撥水が効いている状態というのは、生地の表面に水を垂らした時に玉になって転がり落ちるんです。これを撥水といいます。

防水は、耐水とも言い換えられます。耐水は表面の水を弾く/弾かないのは関係なく、生地の内側に水が浸みるかどうかを耐水といいます。防水と表記されているのは、内側に水が浸透しないことを表現しています。ですので、商品の生地を防水と位置付けるためには、商品を作るうえで生地の耐水圧というものを測るところから始まります。

ーー耐水圧というと、テントなどの商品には耐水圧のスペックが記載されていますが、いまいちピンときません。どうイメージしたらいいでしょうか。

岩瀬さん:耐水圧の単位はmmと表記するので、厚さのようですが、生地の厚さと耐水性は比例しません。耐水圧の表記を見たら、厚さのイメージから離れてもらって、例えば1,000mmの場合は「1,000mmの水の柱があり、その柱が生地の上に置いても漏れてこない」というイメージをしてもらうとわかりやすいかもしれません。

試験で行う際は生地に水圧をかけ、水滴が3滴漏れてきた段階で、その生地の耐水圧ということになります。

ーー耐水圧の単位「mm」のイメージはつけました。が、それをリアルな状況に落とし込むといまいちわかりません。

岩瀬さん:そうですね、一般衣料品だと2m(2,000mm)という耐水圧でも問題ないと考えていただければよいと思います。が、アウトドアは山で使ったりさまざまな状況が考えられます。

例えば、岩に座って生地が擦れたり、アクティビティではさまざまな圧がかかりますよね。ですので、通常の生活では必要のない10,000mmや20,000mmなど大きな数値の耐水圧がアウトドアのウェアでは求められます。

防水の生地の下側には上の図のようにコーティングしたりフィルムやメンブレン(膜)を貼り付けるので、完全に生地を塞ぎます。つまり、基本的には水を通さないかわりに風も通さない……ということは、汗やそれによる蒸気も通しづらいんです。よって、透湿性をどれくらいもたせるのかが、快適さを左右する性能になるわけですね。

簡単に撥水性は落ちない、耐久撥水という基準

ーー水を弾くことが撥水というのであれば、化繊のアウターって水を弾くものが多い気がします。化繊の洋服はほとんどが撥水加工しているものなのでしょうか。

岩瀬さん:加工のレベルによりますが、ナイロンやポリエステルでもまったく無加工のものはやっぱり浸みちゃいますよ。一般的に撥水と呼ばれるものは、5回くらい洗濯しても80%残っていたら優秀と言えます。ざっくり言うと、一般衣料品の撥水であればひとシーズンくらいはもつでしょう、というイメージです。

ただし、アウトドアやスポーツブランドの言う撥水は、正確には「耐久撥水」という言い方をします。これは一般衣料品の撥水機能を大きく上回り、最低でも10〜20回、場合によっては50回洗濯しても8割程度の撥水があり、耐久性、持続性があるんです。一般的にちゃんとしたアウトドアブランドが打ち出す撥水は、耐久撥水を指しています。

買ったばかりの初期性能は耐久撥水で、洗濯して使用して使用回数が重ねていくと劣化の進行が、持続性・耐久性があるものと、どんどん劣化し悪くなるものと差があります。

ーーでは、水を弾かなくなったら、どうしたらいいんでしょうか。

岩瀬さん:アウトドアブランドの耐久撥水は、薬品に生地を浸け、布の内側の中にまで薬剤を含浸させています。薬剤は表面にかかるストレスや、経年劣化で落ちていきます。通常5、6年程度使えば、表面の撥水が落ちてしまいます。これは経年劣化で、復元するとしたら撥水スプレーを使うなどで対処できますが、生地が撥水しているわけではなく持続性がないので、洗濯をすれば、スプレーで塗布した撥水剤は落ちちゃいますね。

また、撥水スプレーは、汚れた状態の上にスプレーで撥水加工をしても、撥水剤がまた汚れに吸い取られるだけなので、効果はそんなにでないですね。

とはいえ、アウトドアブランドの耐久撥水は簡単に落ちることはないので、買ってそんなに使用頻度がないのに水を弾かなくなる原因は、表面に水を吸い込んでしまうほこりや汚れが付着している場合がほとんどです。撥水剤の上に水を吸う物質=汚れがのっていれば、水を弾かなくなります。その場合は洗濯してしっかり乾燥させればある程度元に戻ります。

買って間もないうちに撥水が落ちてしまうとおっしゃる方がいますが、汚れの問題でもなく、撥水が落ちたのであれば、耐久性がない撥水加工の商品だったということだと思います。

ーー洗濯する際の注意はありますか?

岩瀬さん:繰り返し洗っていると、徐々に撥水効果が落ちてしまいますが、かといって汚れたままだと効果を発揮できないので、基本的に撥水加工がしてあるウェアは、こまめにお手入れをすることが大事です。

あと注意したいことは柔軟剤入りの洗剤です。柔軟剤は水を吸収しやすく、どうしても使用する際は、通常よりも1回は多くすずきをし、完全に洗剤を除去するのがベストです。しっかり乾燥させましょう。

もし撥水がちょっと悪くなってきたらーー以下は自己責任で行っていただきたいのですが、アイロンを低温にし、さらに当て布をして生地に熱を加えるなど、生地から少し離したところからドライヤーで温風を当てるなどすると、撥水機能が少し復元するんです。

なぜ熱を加えるかというと、撥水の分子ってイメージで言うと毛が立っているような状態なんですね。顕微鏡で見ると生地にある撥水剤の表面って、ハスの葉みたいにこまかな毛がいっぱい立っているような状態なんですよ。それが圧がかかったり、こすれなどストレスによってその毛が寝ちゃったり崩れると撥水自体が効かなくなり、水が染み込みやすくなる。熱を加えると、寝ていた毛が立つ、という仕組みです。

ただ厳密に言うと、撥水しにくい水もあるんです。撥水機能のついたウェアを利用する人は感覚で気がついていると思うのですが、雨=水だから撥水する、というとそうでもないんですよね。例えば霧みたいな細かい水は、撥水の生地は効きにくいんです。

新しいレインウェアを着ているのに、生地に水が染み込んでべちゃっとしている状態になる場合は、湿度が高かったり、霧雨の環境下だと撥水効果が落ちる場合がありますね。

ーーでは、防水で透湿性がある=水は通さないけど、蒸気は逃す、ということですよね?

岩瀬さん:はい。そうですね、ただちょっと奥が深いんですけど、まず、透湿・防水には多孔質と無孔質の2種類があるんです。

多孔質っていうのは、非常に薄い生地の中に、細かい穴がたくさん空いています。イメージとしては軽石を描いていただくとわかりやすいです。これらの空いている穴が、水の分子よりも小さいため、水蒸気の分子が通っちゃうんですよ。で、水の分子は水蒸気の分子よりも大きく、つまり穴よりも大きいので通ることはできません。

多孔質の蒸気の抜け方 概念図


それに対して無孔質は穴がありません。水があれば単に吸います。吸うことによって、水分を乾かしているんです。

地球上の物質というのは、濃度を均一にしようと働きがあります。
例えば、汗をかいた衣服の中は湿度が高くなっていますよね。湿度は高いところから低いところへ移動するという性質があります。つまり、この性質を利用したものなんですよ。

ウェアの中にこもった湿度は中から外へ行くわけです。多孔質はウェアの中が湿度が高く、生地に蒸気が通る穴が空いていれば湿度が低い場所へ逃げていきますし、無孔質の場合は、水を吸って、生地の外側で湿度が低いほうに水分を動かすことで生地が乾く。という原理を利用しています。

無孔質の蒸気の抜け方 概念図


ーー多孔質や無孔質は、耐水圧のように実際に調べる試験があるのでしょうか?

岩瀬さん:多孔質の特徴である蒸気を通す試験方法がA-1法で、無孔質の特徴の水を直接透過する方法をB-1法と呼ばれます。
コロンビアの場合は水を吸い方を図るB-1法も高いスペックのものも採用しています。コロンビアが採用している3層の中には多孔質ではあるものの、無孔質と同等の水を吸う力がある素材もあります。例えば真夏に、暑さによって汗でウェア内がベターっと濡れていても水分を吸い上げてくれるため、快適なんですよ。

ーー同じ透湿性でも、性質が違うんですね。では、多孔質と無孔質、どちらが商品によく使われているんでしょうか?

岩瀬さん:うーん、両方同じくらいでしょうか。それぞれ先に述べたような性質があるので、どちらがいい防水・透湿なのかは、環境にもよります。例えば汗をかいたときって、かきはじめは蒸気ですが、溜まっていくことで、湿度がmaxになると水滴状になりますよね。水滴になると、多孔質は通せませんし、水分を吸う量は無孔質には負けてしまいます。

ですので、運動しはじめなど、ウェアの中で蒸気が立ち込める場合は多孔質のほうが快適ですね。でも汗がそのまま水になりやすい夏などの環境は、最初から水を吸いあげる無孔質のほうが快適に感じるというケースもでてきます。

防水透湿というと直接肌が生地に触れ合うようなレインウェアなどは、2.5層の無孔質のものがよく使われます。逆にいうと2.5層以外は多孔質が多いですね。

いずれにせよ、コロンビアの場合は、3層のレインウェアでも水を吸い上げる力があるため、3層のレインウェアのデザインや予算などの問題がなければ、3層をおすすめします。

ーーちなみに、その2層とか3層とか生地の貼り合わせについてですが、2.5層の「.5」は何をさすんでしょうか?

まず、2層は生地に直接ラミネートした状態です。生地を1枚だけ使うということはなくて、裏地を使うことがほとんどです。

2.5層はたいてい無孔質で、特殊なグラビアプリントを載せています。コーティングが触っても直接肌に触ってもベタベタしにくい効果があります。プリントした模様が若干の凹凸をつけてくれて、肌がつけてもさらっとしやすく、快適さが増します。「.5」は生地を使わずにそのプリントのことを指します。ちなみに、昔は2.5層ってなかったんですよ。

そして、3層は表地、メンブレン、もう一枚トリコット。これらを張り合わせたものを3層としています。3層は独特の素材感で、基本的に2層や2.5層よりもパリパリした素材でいかにも防水素材と感じられるものです。ですので、2層や2.5層に比べてやや着心地が固めでカジュアル用途にはあまり使われないですね。
ただ、今は風合いがよくなったので、3層とそれ以外の差がわかりにくくなりましたね。

2層の生地

2.5層の肌に当たる方の生地。丸い模様はグラビアプリントと呼ばれるプリント。このプリントが肌に張り付くのを抑えるため、0.5層扱いとなる

3層の生地。ストッキングのようなきめ細かい生地が肌に当たる側に貼ってある

ーーアウトドアやスポーツブランドのレインウェアは、街で着るなど普段使いには高スペックすぎますか?

ファッションとして、普段からアウトドアのテイストを楽しみたいという方にはよいですよね。
夏以外の汗をかきにくい状況であれば、2層の多孔質のほうが普段使いで快適ですよ。

あとは、基本的に2.5層は一番軽く作れる素材なので、軽さに対して価値観を求める人には2.5層をおすすめしますが、それ以外の部分では3層のレインウェアを購入されたほうがすべてに快適と言えるでしょう。

わからないことはストアのスタッフに使う用途などを話して相談すると、ベストな提案をしてくれるはずです。不安な方はストアまで足を運んでいただけると安心してセレクトできると思いますよ。

フェスでもレジャーシーズンでも大活躍するレインウェア。特徴をつかんで愛用できるものを選べるようになるといいですよね。次回は、コロンビアから登場する防水・撥水のアイテムをご紹介します。

後編:半永久的に撥水が継続するアウトドライエクストリームとは?アウトドライ、アウトドライエクストリーム、アウトドライエクストリームエコの違いとは?


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2019/05/27