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「週刊 松本穂香」×Columbia「urban」コラボレーション特別インタビュー 「反応するということが、今の私にどこまでできるんだろう」

2019/10/23

役を演じるごとに、彼女だけの表現を更新し続ける女優・松本穂香。本インタビューでは、11月に公開を控える主演映画『わたしは光をにぎっている』に対する芝居アプローチや、新たな挑戦について伺った。また今回は、彼女がデビュー初期の頃からInstagram上で発信し続ける「週刊 松本穂香」が、Columbia「urban」と初のコラボレーション。チャーミングでオフビートな写真や動画が話題のコンテンツの制作過程も覗き見る。


<映画『わたしは光をにぎっている』について>

—映画『わたしは光をにぎっている』で、主人公は慣れ親しんだ故郷の長野県野尻湖から、あるきっかけで上京、父親の親友が営む銭湯で働きだし、常連客との交流のなか、大切な何かに気付いていく。そんな本作にて、子供のままでいたい二十歳の女の子・宮川澪役で主演を務めた松本さん。初めて脚本を読まれた際の印象はいかがでしたか。

中川監督がもともと詩を書いていらっしゃる方だということもあって、「こんなに丁寧で素敵な言葉が紡がれるお話には、なかなか出会えないな」と率直に思いました。なにか大きな事件が起きるわけではないんですが、心にすっと伝わっていくお話だなと。監督からは始めの段階で、「二十歳といえば世間ではもう大人というふうに認識されるけど、あなたが演じる主人公の宮川雫はまだまだ子どもで、そこを特に意識して演じてほしい」と言われていました。<子どものままでいたい女の子>というイメージが、監督の中にあったみたいで、女性的な部分は出さないように演じました。


—監督を務める中川龍太郎さんとは初めてタッグを組まれたわけですが、どのような印象でしたか。

もともと共通の知り合いがいて、以前から面識はあったんです。ありがたいことに、「松本さんで撮りたい」とはずっとおっしゃってくれていて、今作で念願が叶いました。なので、ある程度私がどんな性格で、どんな芝居をするかを汲んでくれていたのだと思います。撮影中の演出面での指示もあまりなかったので、私のことを理解してくれて、信頼してくれていたんだろうなと感じています。

—宮川雫というキャラクターとご自身がリンクする部分はありましたか?

演じていて、「私にもこういう瞬間はあったんだろうな」という部分はすごく多かったです。不倫だとか、処女がどうだとかを話す周囲の大人に対して、「自分が思っていることはそれと違う!」と思ったり、そんな大人に対して気持ち悪さを抱いたりするシーンがあって、雫は気まずくなって、分かりやすく拗ねるんです。そういうお芝居をしたのは初めてだったんですが、すごく共感したんですよね。「まだ私は汚い大人たちとは違うんだ!」って思っていた時期は私にもありましたし、でもいずれそっち(大人)側にいくこともあるじゃないですか。だから今はもう雫とは違う感覚もあるけれど、私にもそういう時期はあったな、という点ですごく共感できました。


—本作は台詞が少ない分、主人公の心理過程を表情やアクションで伝えなければならない部分があったかと思いますが、どうでしたか。

松本:そうですね。今回は「何もしない」くらいの気持ちでいたいな、と最初に脚本を読んだときから思っていました。「このシーンではこうしたい」とかは具体的になくて、台詞が少ない分、私にできることは現場に立って、カメラが回ってからしか分からない。共演者の皆さんが発する言葉も、その日現場に行ってみないと分からないという感覚って、リアルに近いと思うんです。<反応する>ということが、今の私にどこまでできるんだろう、という挑戦するような気持ちで臨みました。

—何も用意せず、その場その場で反応する演技自体が挑戦的だったと。

今まで自分の性格とはかけ離れた役を演じてきて、その距離を埋める分の想像力が必要なお芝居が続いていました。それらがひと段落して、今回は澪というすごく自分に近いところがある役柄だったので、自分ってどういう人なんだろうと、役者としての現在地を確認したいなという気持ちと、撮影を終えて、確認できたなという実感がありました。


—特に心に残っているシーンがあれば教えてください。

劇中で、私が演じる宮川 雫がある登場人物から、「喋れないんじゃなくて、喋らないんだよ。そうすることであなたは自分を守っているんだ」と言われるシーンがありました。喋らなくても周囲に察してもらえる状況で、子どものままで許される環境にいた雫が、目まぐるしく変わりゆく世界を前に、何かに気付いていくんです。「子どものままでいたいけれど、そうはいられない」という時間のなかで、これは<主人公が自分の居場所を掴んでいく物語>なんだと実感するシーンだなと思います。

—改めて、本作の魅力を松本さんのお言葉でいただけると嬉しいです。

自分のことをだめだなあ、と思っちゃうことってすごくあると思うんです。何かをすぐ投げ出しちゃったり、諦めちゃったり、私含めそういう人ってすごく多いと思うんです。だけど、ただ、好きなこととか、自分に向いていることが分からないだけ、まだ出会えていないだけで、いろんな世界があって、それはものすごく広くて。だから自分をだめだと思わないでほしいなと心から思います。もっといろんな世界に触れられるということを、この映画で伝えられると思っているので、どうかたくさんの同世代の人に観てほしいです。

<Instagram「週刊 松本穂香」について>

—今回コラボレーションが実現した「週刊 松本穂香」について、この連載を始めたきっかけは?
今よりももっともっと映画やドラマなどの作品に参加する機会が少ない時期にはじめました。マネージャーさんが「自分たちで写真とか動画撮ってアップしちゃおう」と言い始めて、私も「あっそうですか、はい。」みたいな。(笑) なにも考えずに遊ぶような感じで始まりましたね。


—過去に撮った写真や動画で、記憶に残っているものはありますか?
なんだろう……。全州国際映画祭で韓国に行ったときに、映画『おいしい家族』のふくだももこ監督が撮ってくれた、動画「サムギョプサル講座」の回は好きですね! 楽しかったです。(笑)(https://www.instagram.com/p/Bw_eWJeFuHj/?utm_source=ig_web_button_share_sheet

—毎回のテーマはどなたが考えているのですか?
ルービックキューブとか椅子とか、けん玉とか、使う小道具はマネージャーさんが決めることが多いですね。撮影や収録の合間など、時間を見つけてiPhoneで撮っているのですが、どう撮るかもその場その場で決めることが多いと思います。


—写真と動画は、誰が撮っているのですか?
どちらもマネージャーさんが撮ったり、その日ご一緒したヘアメイクさんが撮ってくれたりなんですが、即興で適当にやっています。(笑) 撮り溜めは2週分くらいで、けっこうカツカツです……。そこまで「やるぞー!」って力んでやっている感じではないんです、いつまで続くかも分からない……。(笑) だけど、毎回思いつきで楽しくやっています!

(プロフィール)
松本穂香
/1997年2月5日生。大阪府出身。2015年主演短編映画『MY NAME』でデビュー。その後、出演したNHK連続テレビ小説『ひよっこ』の青天目澄子役の好演が話題になる。映画『恋は雨上がりのように』、『あの頃、君を追いかけた』などの映画に出演した他、日曜劇場『この世界の片隅に』(TBS)、『JOKER×FACE』(CX)などの連続ドラマの主演を務める。現在、主演映画『おいしい家族』が公開中、主演映画『わたしは光をにぎっている』が公開を控えている。


写真=トヤマタクロウ
取材・文・編集=宮城フランシス伸(RCKT/Rocket Company*)


「週刊 松本穂香」×Columbia「urban」
女優・松本穂香がだいたい1週間毎のテーマでお送りするオフィシャル連載活動「週刊 松本穂香」が、Columbia「urban」と初のスペシャルコラボレーション。今回のために撮りおろした選りすぐりの作品のなかから、写真と動画を一部だけ公開。続きは、下記URLの「週刊 松本穂香」アカウントからお楽しみください。
https://www.instagram.com/weekly_matsumoto/

2019/10/23