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高橋庄太郎さんの マウンテンハードウェア2020春夏 新作チェック(前編)

2020/03/23

山岳ライターとして山岳雑誌やアウトドア専門のwebメディアで活躍され、ギアのレビューや実地での使用レポートで信頼が厚い高橋庄太郎さんに、マウンテンハードウェアの2020年春夏の新作ウェアとバックパックをチェックしていただきました。今回も前後編の2部構成。前編はトップスです。

今年の冬は山に登ってもほとんど雪がなく、秋のような風景が広がっていた。しかし、暖冬といっても、冬は冬。寒くて外に出るのが億劫になる日ばかりだった。これからの本格的な春がうれしくてたまらない人も多いだろう。

気温が日々高まっていくなか、マウンテンハードウェアが今期も新製品のリリースを開始した。今回は新作チェックの「前編」として、ハードな環境でも活躍する防水性のウェアや速乾性のシャツをピックアップしていきたい。相変わらずバリエーションが広く、どれも機能的なのが印象的だ。

コヒージョンジャケット
ブランドの今期イチオシだというジャケットが、こちら。防水透湿性のドライQが使われ、生地は40デニールという分厚さで、一目見ただけで強靭なことがわかる。この春の製品だが、このタフな作りはレインウェアではなく、冬も使えるハードシェル。もっとも活躍しそうなシーンをイメージすれば、残雪の北アルプスのような高山だ。

素材はもちろん、細かなディテールまで詳細にチェック

着用して体を動かしてみるとわかるのが、これだけの生地の厚みがありながら、ストレッチ性を持っていることだ。現代の一部のレインウェアのように驚くほどの伸縮性があるわけではないが、普通のハードシェルに比べれば腕を動かしたときに突っ張る感じが少なく、体にかかる負担が少ない。

腕を上げても突っ張る感じが少ないのは、ストレッチを持っているから

身長177センチの僕にちょうどよいサイズは、これまでのマウンテンハードウェアのウェア同様にMであった。しかし、いつも以上に体に合っているような気がする。実はコヒージョンジャケットは、いわゆる「アジアンフィット」。手足が長くはないアジア人向けに設計されている。僕が以前試したマウンテンハードウェアのジャケットには腕の長さが余ってしまうものも多かったが、コヒージョンジャケットは過不足ないサイズ感なのがうれしい。

とはいえ、僕は下半身が人並以上にガッチリとしており、サイズMではお尻の部分の幅がギリギリである。一般的な体格の方にはむしろちょうどよいくらいだろうが、合わせるパンツやコーディネートによっては着心地が悪くなるかもしれず、個人的にはこの部分は気になる。だが、うれしいことにコヒージョンジャケットのフロントのファスナーには引き手が2つ付けられ、上と下どちらからも開くことができるWタイプ。場合によっては下のほうだけ少し開放すれば腰回りが楽になるのである。

フロントはWファスナー。だから下側も開き、内側のウェアが見えている

僕がこのようなWファスナー仕様のジャケットが好きだ。下の部分を開いておけば、かがんだり座ったりしたときに裾が持たれないし、上下から思い切って開いてもウェアが完全には広がらず、着用したままでベンチレーターのようにウェア内部に風を通すことができるからである。

そういえば、コヒージョンジャケットのベンチレーターがおもしろい。一般的なハードシェルジャケットのベンチレーターといえば、脇下にファスナーで数十センチものの長さに1本つけられているタイプが多く、コヒージョンジャケットも同種の仕様に見えなくもない。だが、よく確認すると長い1本のファスナーのようでいて、実は短めが2本。ちょうど脇の真下でいったん区切られていて、同時に開放したり、片方だけ閉じたりと、状況によって変えられるのである。

脇のベンチレーターは途中で区切られて、短めが2つ

このように説明したところで、そのファスナーがWタイプであれば、同じように脇の下を境に、ベンチレーターを上下2か所、開いたり閉じたりできるできるのではないかと思われるかもしれない。たしかにその通りだ。しかし、ファスナーを2つに分けているメリットは、その点だけではないのである。

ファスナーというものはどんなに細く、しなやかなものを使用しても、ウェアの生地ほどの柔軟性は得られない。どうしても線のように突っ張ってしまい、着心地を損ねてしまうのだ。だが、コヒージョンジャケットのように2分割されていれば、分断されている部分でその突っ張り感が解放され、ファスナーの存在をほとんど感じなくなる。ファスナーがきれいに折りたためられている感覚といってもいいだろう。だから、着心地が非常にいい。ちょっとした工夫だが、驚くほどの効果を持っているのを実感した。

ちなみに、両サイドのポケットの内側はメッシュだ。そのためにポケットも開け放しておけばベンチレーターとして機能し、脇下のベンチレーターやフロントのWファスナーと連動して通気性が向上する。

生地の厚みや耐久性から見ればコヒージョンジャケットは雪山向けのハードシェルだが、これだけ通気性がよいのだから夏にレインウェアとして使ってもよいだろう。もちろん一般的なレインウェアよりも重いのは否めないが、通年で使えるというメリットは高い。

フードは面ファスナーで固定可能。価格を抑えながら、ディテールも充実

最後に言及したいのが、その価格だ。これだけのハードシェルジャケットで、わずか27,000円とは! 一般的なハードシェルジャケットの半額程度であり、このコストパフォーマンスの高さはすばらしい。

製品:コヒージョンジャケット
価格:29,700円(税込)

カウクスタートジャケット
タフな環境に向くゴツめの作りのコヒージョンジャケットに対し、このカウクスタートジャケットは柔軟で重量も軽く、まさに現代的なレインウェアだ。

しなやかな素材で、軽く身にまとえる

こちらにもドライQが使われているが、ストレッチ性はコヒージョンジャケット以上で、生地は紙のように薄い。コンパクトに折り畳めるので、バックパックに収納しやすいのも長所である。

スタッフバックが付属し、折りたたんで収納できる

ただし、ポケットの内側のメッシュにいくらか通気がある程度で、ベンチレーターは付けられていない。フロントのファスナーも引き手がひとつで上からしか開けることができない一般的なタイプだ。だが、軽量さを重視して考えられたレインウェアなのだから、それらの要素をそぎ落としているのは当たり前ともいえる。通気性が多少犠牲になるのは仕方ない。

胸のポケットの内側はメッシュ素材で、ベンチレーターに

カウクスタートジャケットを着て感じるのは、裏地の肌触りのよさだ。だが、なめらかで気持ちがよいというわけではない。少しザラついていて、汗ばんだ肌にも張り付かず、ベタつきがないという点が優れているのである。街着としてのウェアではなく、登山向けのウェアであれば、あえて生地がザラついているほうが「肌触りがよい」と思えるときがあるのは、アウトドア好きの方ならばわかっていただけるのではないだろうか。

わずかにザラついた裏地。これが気持ちよい

ありがたいことに、このジャケットもアジアンフィット。腕の長さが余ることがなく、生地がもたれて感じるストレスがない。お尻が大きい僕には裾が少しだけ狭いのは、コヒージョンジャケットと同じだが、生地が柔らかい分だけ体になじみ、ほとんど気にはならない。フードの大きさは、ヘルメットをかぶったままでは小さいが、普通の帽子であればちょうどよい。フードの前方で張りを持たせたつばのような部分は、この手の軽量レインウェアでは省かれがちなディテールであり、ちょっと得した気分になれる。

袖は余らないが、お尻が大きい僕は腰元が少しだけ引っかかる

少々惜しいと思われるのは、セットで使えるレインパンツが作られていないことか。マウンテンハードウェアにはほかにもレインウェアが用意されており、そのラインナップからレインパンツを選ぶことはできるのだが、せっかくなら同シリーズで揃えたくなるというもの。いずれ開発してもらえるとよいが、いまは別のパンツを合わせて使いたい。

製品:カウクスタートジャケット
価格:31,900円(税込)

チョックストンフーディ
しなやかさ、柔らかさ、柔軟性で、上記2つのウェアを上回るのは、チョックストンフーディだ。薄手のソフトシェル素材で、これからの暖かい季節に活躍しそうな一着である。

ポケットは腰と胸の部分に計3か所

防水性ではないので、雨や雪に対する力は限定的。しかし、着用して水をかけてみたところ、驚いたのはその撥水性の高さだ。レインウェアと見間違えるほど水を弾き、袖のゴムの部分こそ水を含んで濡れてしまったが、生地そのものにはほとんど浸透しないのである。着続けていけば撥水性は落ちていくだろうが、初期性能としては申し分ない。ちょっとした小雨くらいなら、このジャケットでしのげそうである。

撥水性は抜群。生地を叩けば水滴は弾き飛ぶ

このウェアもアジアンフィットだ。マウンテンハードウェアは日本人に合うサイズ感のウェアに力を入れているようで、この流れを喜んでいる人も多いだろう。もっとも、伸縮性がすばらしいチョックストンフィーディは、ストレッチ性が限定的なハードシェルジャケットやレインジャケットほど厳密にサイズを合わせなくても、それほど違和感なく着用できる。人によってはワンサイズ下のほうがよい可能性もあるので、興味がある方は実際に試着してみるべきだ。

これだけ伸縮性が高ければ、タイトめに着ても苦しくない

チョックストンフーディのように薄手のソフトシェルは、アウターとして着るだけではなく、ミッドレイヤーとしても使いやすい。たとえば今回紹介したコヒージョンジャケットの下に合わせてレイヤードすれば、残雪期どこか真冬の山にも対応する。応用度が高いので、ひとつ持っていれば重宝しそうだ。

ポケットの裏地はメッシュ。ほかの部分は起毛し、保温力をもつ

ところで、チョックストンジャケットは裾やフードにドローコードなどがなく、開口部を締め付けることはできない。だが、だからこそ重ね着してもゴロつきがなく、着心地を損ねないのである。ひとつのウェアの機能を省くことによって、レイヤードのトータルでの機能が高まることもありえるのが、アウトドアウェアのおもしろい点だ。

製品:チョックストンフーディ
価格:18,150円(税込)

キャニオンソリッドロングスリーブシャツ
派手な存在ではないが、僕がすぐにでもほしくなってしまったのが、キャニオンソリッドロングスリーブシャツである。

ほのかなブルーがさわやか。ほかに3色用意されている

ポイントは、普通のシャツのようなシャツでいながら、換気のためのベンチレーターが充実していることだ。

背中のベンチレーターは両腕の付け根まで延びている

背中にスリットが入っていて風を呼びこみ、内部の蒸れを排出するシャツはアウトドア用としてときどき見かける。だが、このシャツは脇の下にまでスリットをつけてあり、こういうものはあまりない。

脇の下のベンチレーターは短く3つに縫われている

しかも胸ポケットが二重構造。フラップが付いた上側ではなく、横側のファスナーを開けると内側はメッシュになっていて、この部分もベンチレーターとして機能する。そのために背中、脇、胸という3か所が連動して換気できるのである。普通のシャツであれば、フロントのボタンを開けて前をはだけることしかできないが、これだけのコンビネーションを見せるシャツは見たことがない。

ポケットのサイドのファスナーを開けると、メッシュの裏地が見える

吸汗速乾性も充分だ。チョックストンフーディと同様に水をかけてみたところ、今度は一瞬で水を吸い取って濡れてしまい、淡いブルーが濃いブルーに変化してしまったが、時間が少し経つだけでどんどん乾いていき、再び薄いブルーに戻っていった。また、生地が濡れても肌に張り付かず、さらっとした肌触りなのも好印象だ。

キャニオンソリッドロングスリーブシャツもまたアジアンフィットである。だが、他のアジアンフィットのウェアに比べると、腕が若干長めのようだ。着心地を損ねるほどではないが、あと3~4センチ短かったら僕にはジャスト。ただし、体格には個人差があり、他の方ならば反対にもっと長いほうがよい可能性もあるだろうし、細かいことをいえばキリがない。

このシャツの袖に関してもっと重要なのは、裏側にロールアップタブというテープ状のパーツが付けられていて、表側のボタンと連動してまくり上げた袖を固定できることだ。速乾性を重視したアウトドアウェアには滑りがよい化学繊維が使われており、ただ袖をまくっているだけだとすぐにほどけてしまい、暑いときは邪魔になりがちである。その点はポリエステル素材のこのシャツも同様だが、ロールアップタブがあることで、ほどけ落ちる心配がない。ボタンで留めるひと手間はあるものの、この機能は有用だ。

ロールアップタブでまくり上げて留めた袖の部分

ファスナーでフロントを閉めるウィンドシェルもいいが、暑い時期は通気性や速乾性に秀でるこのような襟付きシャツをTシャツに合わせるのもお勧めである。キャニオンソリッドロングスリーブシャツの襟は二重に折り畳んであるフリップアップカラーといわれる構造で、襟をほどいて立てれば首元を後ろから覆って陽射しを遮ることができ、首元の日焼けの防止になる。これは便利な工夫だろう。

折り畳んである部分まで広げると、このように襟が長く立つ

僕は10年以上前のマウンテンハードウェアのシャツをいまでも愛用している。しかし、このようなディテールのブラッシュアップや素材の改善などを見ていると、そろそろ本当に買い替えてもよいのかもしれないと思い始めている。シャツのようなシンプルなウェアも進化し続けているのだ。

製品:キャニオンソリッドロングスリーブシャツ
価格:9,350円(税込)

ジャケットとシャツをチェックした今回の「前編」。きっと興味を惹かれるものがあったことだろう。次回の「後編」では、注目のパンツとバックパックを見ていきたい。

高橋庄太郎さんのマウンテンハードウェア2020春夏新作チェック(後編)

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2020/03/23

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