マウンテンハードウェアアスリート4人の北アルプス山行から学ぶ、夏山登山のウェアリングと装備のTIPS

今回持参した全装備とテント泊登山のTIPS

―杉坂 「ファーストエイドキットなどすぐに使いたいものは雨蓋、頻繁に取り出す行動食は上部に、など、使うシーンを想定して収納します」 ①ヘルメット ②地図、コンパス、ホイッスル・小物類:日焼け止めや予備のヘッドライト、ファーストエイド用の手袋などをまとめ、取り出しやすいように雨蓋に入れて携行 ③バックパックカバー・ヘッドランプ・サングラス ④ギア類・ロープ:同行カメラマンのサポートなどで、ガイド装備も持参。穂高エリアでクライアントをガイドする際は30m程度のロープを使用することが多い ⑤エアマット・断熱シート:テントフロアには銀色の断熱シートを敷き、その上にエアマットを使用する。下からの冷え、濡れを防ぐほか、テントが汚れにくい ⑥バックパック ⑦レインウェア上・下:T3ジャケット/T3パンツ ⑧スリーピングバッグ ⑨ウェア類:最低限の着替え、薄手のダウンジャケット、レイングローブ、ネックゲイターなど。ネックゲイターは汗止めとしても使える ⑩ファーストエイドキット ⑪テント:ニンバス UL1 テント ⑫食料など ⑬クッカー・水筒 ⑭食器・行動食:行動食はメインの食料とはわけてバックパックの上のほうに収納 ―水間 「テントやレインウェアなどのベース装備が軽くなった分、食料や快適性を犠牲にせずに用意しました」 ①ヘルメット ②防寒着:薄手のダウンジャケット ③レインウェア上・下:T3ジャケット・T3パンツ ④日焼け止めなど ⑤サングラス ⑥エアマット ⑦ウェア類:薄手の防寒着のほか、靴下、ロングTシャツ、アンダーウェアの替えは必ず持参する ⑧食器・クッカー ⑨ファーストエイドキット ⑩ギア類:ヘッドランプ、予備の電池、テントのリペアキットなど ⑪バックパック:マウンテンライト38 ⑪テント:ニンバス UL1 テント ⑫スリーピングバッグ ⑬食料:山では暖かいものを食べたいし、食料は削らない。テント場で楽しめるように多めに持参した ―長門 「クライマーはギアをたくさん持ち運ぶので、それ以外の装備は軽量化を強く意識しています」 ①ヘルメット ②手袋・地図・コンパス ③バックパックカバー ④ヘッドランプ ⑤サングラス ⑥レインウェア上下:T3ジャケット、T3パンツ ⑦食器・ガス・食料:食事はフリーズドライなど軽くてコンパクトなものが中心 ⑧防寒着:薄手のダウンジャケット ⑨水筒 ⑩行動食・救急セット・日焼け止め:ひとつにまとめてパックの取り出しやすい場所に収納 ⑪バックパック ⑫テント:ニンバス UL2 テント ⑬スリーピングバッグ ―伊藤 「ミニテーブルや保温水筒など快適性を重視しました。着替えはあまり持ちませんが、汚れたパンツで寝袋に入りたくないので就寝用のサブパンツは必ず持参します」 ①ヘルメット ②地図・ナイフ ③ウォーターストレージ ④ヘッドランプ:予備も持参する ⑤ミネラルウォーター:傷口の洗浄用に持参 ⑥ファーストエイドキット:オレンジのシートはアルミ合金にウレタンを貼り合わせたもので、骨折やねんざの際の副木として各部位に使えるサムスプリント ⑦食料・食器 ⑧行動食:クッキーやゼリーなど。よく食べるナッツ類は別の袋に入れて持参 ⑨レインウェア上下:T3ジャケット、T3パンツ ⑩スリーピングバッグ ⑪ガス・クッカー ⑫水筒:水用のナルゲンボトルと温かい飲み物用の保温水稲 ⑬ミニテーブル:テント場での調理や食事が快適に ⑭バックパック ⑮テント ⑯グローブ ⑰エアマット

杉坂勉(すぎさか・つとむ)/国際山岳ガイド

1968年生まれ。国際山岳ガイド。夏季は主に穂高岳や剱岳のバリエーションルートを、冬季は八ヶ岳を中心にアイスクライミングや雪稜登攀のガイドを行う。クライミングやバックカントリースキーの講習も担うなど、マルチに活躍。

長門敬明(ながと・たかあき)/クライマー

1979年生まれ。クライマーとしてアルパインからビッグウォールまで幅広く活躍する。2011年、中国・ダッドメイン(6,380m)に東壁の新ルートから登頂、17年にはカラコルム山脈のK7(6,615m)南西稜を初登攀した。

水間大輔(みずま・だいすけ)/スノーボーダー・登山ガイド

1978年生まれ。スノーボードのハーフパイプやビッグエアで活躍し、27歳でプロ資格を得る。その後バックカントリーに転向し、現在は立山をベースに活動。日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージII、スキーガイドステージI。

伊藤伴(いとう・ばん)/登山ガイド

1995年生まれ。2016年、当時日本人最年少でエベレスト登頂。世界4位のローツェにも継続登頂する。現在はコロンビアスポーツウェアジャパンのスタッフとして働きながらガイド業を行う。日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージII。

Text:川口穣 Photos:小暮哲也