コロンビアってどんなブランド? 「COLUMBIA TOKYO FLAGSHIP 」から知る、ブランドの歴史と哲学

2025年6月、ファッションとカルチャーの発信地、原宿・明治通り沿いに誕生した「COLUMBIA TOKYO FLAGSHIP」(コロンビアトウキョウフラッグシップ)」。ここは単に高機能なアウトドアアイテムがそろうだけの場ではなく、1938年の創業以来受け継がれるコロンビアの哲学や、都市と自然をつなぐその姿勢を体感できる新たな拠点です。

原宿というファッション感度の高い人々が集まる街に位置し、アウトドアユーザーだけでなく、デザイン性と機能性を兼ね備えたウェアやギアを日常使いしたい人々にとっても特別な場所。

この旗艦店では、ブランドの歴史に触れられる展示、限定アイテム、そして都市のなかで自然を感じさせる空間デザインが訪れる人を迎えます。自分に合ったギアを選ぶことは、生き方や暮らし方を選ぶこと。そんな体験を提供する「COLUMBIA TOKYO FLAGSHIP」の魅力を探ります。

原宿・明治通り沿いに誕生、都市で自然を感じるコロンビア最大の旗艦店

原宿・明治通り沿いに新しく誕生した「COLUMBIA TOKYO FLAGSHIP」は、ブランドミッションである「UNLOCK THE OUTDOOR FOR EVERYONE(すべての人にアウトドアをひらく)」をもっとも体現する場所として生まれた、国内最大規模の旗艦店。
外壁全面に配置された大型のLEDビジョンには、雄大な自然の迫力とそこに挑む人々の姿が映し出されます。原宿という都会の真ん中にありながら、山や川、自然の世界へと想像を掻き立てられる空間です。

「なぜ、原宿にアウトドアのブランドが?」そんな疑問も、店内に足を踏み入れれば自然とわかるはず。

すでに原宿に2つの直営店があるなかで、この新しい旗艦店が果たすのは、「販売」すること以上に、「伝える」ための場所であるということ。空間の設計、展示、体験のすべてが、ブランドの思想を感じさせるつくりになっています。

白を基調とした洗練された空間に、自然の荒々しさを映すショーケース。そこに並ぶのは、コロンビアらしい機能美と都市の暮らしにフィットするいまらしいデザインを備えたプロダクトたち。その佇まいからも、ブランドの「いま」が伝わってきます。

さらに、創業当初のアーカイブアイテムも展示され、コロンビアの歴史や哲学にも触れられます。「都市に自然を持ち込む」という姿勢をかたちにしたこの場所は、ブランドの現在地を発信する新たな拠点となっています。

6月19日に行われたプレス内見会では、コロンビアスポーツウェアジャパンの代表取締役社長ラッザリ・マッスィモと内外装の設計を担当した建築・デザイン事務所のDDAA代表・元木大輔さんが登壇


1938年の創業から現在に至るまでの歩みをたどれるヒストリカルウォール

限定アイテムで知る、いまのコロンビアの魅力

国内最大級の商品数を扱う「COLUMBIA TOKYO FLAGSHIP」では、限定アイテムや先行販売モデルも多数ラインアップされています。今回のオープンを記念して販売されたのは、機能性とデザイン性を兼ね備えた限定4アイテム。

まず注目したいのが「Manatee Rock™ Tokyo Graphic SS Tee」。「COLUMBIA TOKYO」のロゴや遊び心あふれるさまざまなグラフィックから選ぶことができます。

「Manatee Rock™ Tokyo Graphic SS Tee」6,930円(税込)

シャツは、フィッシングに特化したPFGシリーズの定番「BAHAMA II SHIRT」の右胸に、「COLUMBIA TOKYO」のロゴのワッペンを添えた特別仕様。限定80着、こちらは幅広いサイズ展開も魅力です。

「BAHAMA II L/S SHIRT」9,350円(税込)

「Columbia Umbrella」は、シンプルな黒とマルチカラーの2色展開。レインコートの残反を再利用したエコなアイテムです。

「Coffee Bottle」も黒とクールグリーンの2色展開。ロゴも通常のロゴか「COLUMBIA TOKYO」のロゴの2パターンで選ぶことができます。

「Columbia™ Umbrella」17,600円

18 oz(532ml)の「SS Coffee Vacuum Bottle」4,400円(税込)

限定アイテムにあしらわれている「COLUMBIA TOKYO」のロゴは、デザイナーのnorth NADOさんによるもの。コロンビアが生まれたアメリカ・オレゴン州の象徴・マウントフッドを背景に、中央の扉は「アウトドアの入り口」をイメージ。

その下に配された「COLUMBIA TOKYO」の文字は、強調された「T」と「O」の文字をつなげて“TO(目的)”を意味しており、都市から自然へ一歩踏み出すイメージを伝えています。


限定アイテムにとどまらず、他店舗では取扱いのないカラーやサイズも豊富。特に高温多湿で日差しの強いこれからの季節は、快適な機能性と、年齢や性別を問わず取り入れやすいデザインの両立がうれしいポイント。

古着でコロンビアのアイテムを探しているファッションが好きな人にとっても、現行品ならではの機能性とアップデートされたデザインの魅力に出会えるはずです。

「COLUMBIA TOKYO FLAGSHIP」では、ハイキング、アウトドア、ライフスタイル、フットウェアなど、商品タイプごとに売り場が明確に区切られています

2階には都市生活者の毎日を快適にサポートするアーバンライン「コロンビアブラックレーベル」のフロアも

帽子店として誕生。フィッシングベストから始まった、コロンビアの歴史

都市にいながら、アウトドアや自然へと関心を呼び起こす「COLUMBIA TOKYO FLAGSHIP」は、コロンビアの第二の創業者と呼ばれる、ガート・ボイルの精神に触れられる場でもあります。

1938年、アメリカ・オレゴン州ポートランドで、コロンビアは帽子問屋としてその歴史をスタートしました。創業者はドイツで大規模なシャツ工場を経営していたポール・ラムフロム。社名は店舗のそばを流れる雄大なコロンビア川にちなんで名づけられました。

川の周辺には峡谷や深い森、山々があり、厳しくも豊かな自然環境に囲まれた人びとの暮らしには、信頼できるアウトドアギアが必要不可欠でした。

時を経て1960年、ポールの娘であるガート・ボイルとその夫ニール・ボイルが、そんな土地の暮らしに寄り添うアウトドア製品をつくりはじめます。

同年、ガートが釣り好きの夫や友人たちのために、自宅のミシンでつくり上げたのがマルチポケットつきの「Fishing Vest(フィッシングベスト)」。これがコロンビア初のオリジナル製品となり、世界中の釣り人を魅了しました。

1970年代のフィッシングベスト


やがて、父と夫の死を経て、コロンビアの舵を取ることになったガート・ボイル。彼女が掲げた「Tested Tough(タフさはテスト済み)」という言葉は、単なる品質保証ではなく、自然のなかで役立つものを届けるという生活者への愛と信念の象徴でした。

現在も、創業地オレゴンの自然の精神を受け継ぎながら、コロンビアは四季折々のアウトドアを楽しむきっかけをつくり、「自然とともにある暮らし」を支える存在であり続けています。

アメリカの複数メディアから「女性経営者トップ50」「ベストマネージャー」として選出されたガート・ボイル。自ら顔を出して語る広告も話題に

「TESTED TOUGH」の精神が生んだ、信頼のアウトドアテクノロジー

フィッシングベストを皮切りに、ガート・ボイルは製品づくりに情熱と愛情を注ぎ続けました。

1970年代は防水機能で有名なゴアテックス®を世界でいち早く使った製品を開発し、1980年代には画期的な「Bugaboo Parka(バガブーパーカ)」を世に送り出しました。90年代は初めてシューズをラインナップに加え、「Bugabootoo(バガブーツー)」がベストセラーに。

2000年代以降も保温、防水透湿、吸湿速乾、冷却など、快適性を追求する独自のテクノロジーを開発してきました。そうした多彩な機能を持つ素材は「Omni(オムニ)」シリーズとして展開されています。

■「Omni」テクノロジーの代表技術
■「Omni-Tech(オムニテック)」
防水性と透湿性を兼ね備え、突然の雨や風にも体温を保ち、過酷なアウトドア環境でも快適に行動できるよう設計
■「Omni-Freeze Zero(オムニフリーズゼロ)」
汗を利用して生地の温度を下げる冷却機能。登山はもちろん、真夏の都市部でも活躍。
■「Omni-Shade(オムニシェイド)」
紫外線を遮断するサンプロテクション機能。UPF(紫外線保護指数)が高く、日差しの強い日中でも安心


こうした機能性を取り入れながら、コロンビアは機能性とデザイン性を兼ね備えたアイテムを生み出してきました。

製品が長く使えるのは、単に耐久性があるからだけではありません。「こんなギアがあったら」というユーザーの思いが反映されているからこそ、使い込むほどに愛着が湧くのです。

その背景には、ガート・ボイルが掲げた「TESTED TOUGH」の精神があります。「コロンビアの製品とあなたを、マザーはちゃんと見守っていますよ」という温かなまなざしなのです。

自然の荒々しさを空間に映す

「COLUMBIA TOKYO FLAGSHIP」の店舗空間をデザインしたのは、建築家で株式会社DDAA代表の元木大輔さん。

今回の店舗デザインについて、「コロンビアの製品が持つアイコニックなディテールと、個性あふれる自然の要素を組み合わせてデザインしました」と語っています。

建築家の元木大輔さん


さらにこう続けます。

「僕自身、コロンビアといえば、青春時代に見たB-BOYたちのフィッシングベスト姿が印象的で、たくさんのポケットが記憶に残っています。それから、バガブーパーカから見えるフリースの襟、レインコートのフードのつばも。そんなコロンビアのディテールの魅力に触れられるよう、デザインを考えました」。

実際に店舗の什器には、自然そのままの表情を残したミズナラの木やヤマザクラの木、石などが印象的に用いられ、都市らしさを感じるプレーンな空間に、自然の荒々しさが際立っています。

カウンターには存在感のある大きな一枚板の木材を使用


木と石を組み合わせた什器を設置



プランターカバーはコロンビアのダウンジャケット、パーテーションや棚に登山用ロープ、階段にはコロンビアオリジナルのカモフラージュパターン「TIMBERWOLF(ティンバーウルフ)」、試着室のカーテンにはバハマシャツが使用されています。


こうした空間では、アイテムを通じて、自然とともに育まれたコロンビアのものづくりの背景が感じられます。

都市にいながら、アウトドアの感覚を少しだけ体験できる場所。それがこの店舗です。試着や展示を通じて、「Tested Tough」というブランド理念や、アイテムが自然や日常生活でどのように活躍できるかが、想像をかき立てるデザインになっています。

信頼できる道具を選ぶこと。それは、自分の生き方を選ぶこと

「Tested Tough」という言葉は、単にアイテムの丈夫さを保証するだけではありません。あらゆる自然環境に真正面から向き合い、挑戦を続けるガート・ボイルの姿勢そのものです。

信頼できるアイテムを選ぶことは、暮らし方や生き方そのものを選ぶことにもつながります。「自分はどう自然と関わりたいのか」「どこで、どう過ごしたいか」。そうした問いは自然のなかでも、都市の暮らしでも、同じように大切なことです。

「COLUMBIA TOKYO FLAGSHIP」は、自分に合ったアイテムを選ぶ楽しさを体感できる場所です。機能性やデザイン、そこに込められた人の想いを知ることで、自然や暮らしへの見方が変わるかもしれません。

INFORMATION

COLUMBIA TOKYO FLAGSHIP (コロンビアトウキョウフラッグシップ)
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目27-8 エムズ原宿ビル1&2F
営業時間:11:00-20:00(不定休)
https://www.columbiasports.co.jp/shop/e/eflagship/

Text:Eri Ujita
Photo:Manaya Sakaguchi(TABUN)
Edit:Kyohei Kawatani(CINRA)