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上田瑠偉 SKYRUNNER WORLD SERIES 優勝報告会

2019/12/24

コロンビア モントレイルのトレイルランナー上田瑠偉選手が「SKYRUNNER WORLD SERIES(スカイランナーワールドシリーズ)」の最終戦「THE SKY MASTERS 」で1位となり、年間ランキングでアジア人・日本人初となる総合優勝を果たしました。この快挙を上田選手ご本人に語っていただく優勝報告会が開催されました。

上田 瑠偉(Ruy Ueda)
国内では敵なし。海外レースでも優勝する、日本を代表するトップランナー。2017年の日本山岳耐久レースでV2を達成。2019年、世界最高峰のスカイランニングレースシリーズSkyrunner World Seriesにて年間総合優勝。

約100名の上田選手のファンが訪れ、上田選手は写真を見ながらトークをすすめた

会場には上田選手がワールドシリーズのチャンピオンになったレース「THE SKY MASTERS」で着用していたウエアとシューズ、さらに優勝トロフィーなども展示された。

上田選手の人物像について

― SKYRUNNER WORLD SERIESのチャンピオンおめでとうございます!

上田 ありがとうございます。最終戦の「THE SKY MASTERS」で優勝した瞬間は今までにないくらい高揚しました。これまでたくさんのレースに出場してきましたが、嬉し涙を流したことってないと思うんですが、あのときは号泣してしまいました。それだけ僕のなかでは特別な瞬間でした。

― 今日は上田選手の提案で、上田瑠偉の人物像、2019シーズン参戦スケジュール、スカイランナーワールドシリーズ2019、今後の目標、の4つの項目について話していただく報告会になります。まずは「上田瑠偉の人物像」について。そもそも上田選手がスカイランナーになったきっかけは?

上田 僕、陸上長距離の名門、長野の佐久長聖高校の出身です。その駅伝部時代は寮生活をしていて、携帯電話、ゲーム、マンガが禁止。だから読書くらいしかやることがなくて、たまたま『BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族"』(NHK出版)という本を読んだんです。ハマって1週間くらいで一気に読みました。著者が「どうして私の足は走ると痛むのか?」という答えを探すなかで、私たちのランニングについて知っていることはどれもすべて間違いだとわかる。そして、素足で峡谷を走り抜けるベアフット・ランナー、数時間走り続けて獲物を狩る現代のランニングマン、過酷な地形を24時間走り続けるウルトラランナーたちなどの話が出てきます。それでスカイランニングというより、まずはウルトラマラソンやトレイルランニングに俄然興味がわきました。

― トレランを始めたきっかけや、初めてのレースは覚えていますか?

上田 2013年、19歳のときに出場した「柴又100K」でコロンビアの方にスカウトされ、トレイルランニングを始めました。初めてのトレイルレースは「三原・白竜湖トレイルランニングレース」で、いきなり大会新記録で優勝してしまったんです。
スカイランニングのレースに初めて出場したのは2015年の「スカイライントレイル菅平」。菅平は中学生の頃から陸上の合宿で馴染みのあった土地だったので出てみようと思いました。一般エントリーでしたが、ここで優勝することができた。このレースがスカイランニングの世界選手権の日本代表選考も兼ねていたので、このレースで優勝したことが世界の扉を開いたきっかけになりましたね。


2019シーズンの参戦スケジュールを振り返る

2109シーズン、上田選手がエントリーしたレースをスライドに写して解説

― 2019シーズン参戦スケジュールについて振り返ってもらいましょうか。

上田 今シーズンは8レースにエントリーしました。ワールドシリーズのチャンピオンはポイント数で決まるんですが、優勝するとポイントが通常のレースの2倍もらえるボーナスレースはそのうち4レースでした。
印象に残っているのは4月に行われた初戦の「Mt.AWA SKYRACE」。残雪が多すぎて、急遽コンパクトなレースになりました。スカイランナーってヨーロッパではスキーと並行している選手が多いんです。4月というとスキーもやっている選手にはまだオンシーズンだから、まだランニングの練習をそれほどしていないんです。だからこのレースで優勝できなければ、今後世界で戦っていけないだろうと思っていました。レースは序盤のロードをスタートダッシュして、中盤で2位と1分くらいの差をつけました。ところが、後半の急な下りで2位のオリオール選手に追いつかれてしまった。必死で逃げ切ってなんとか1位でなだれこむようにゴールし、もうヘロヘロ。2位のオリオール選手とは9秒という僅差でした。 2019年を振り返るのに最も重要なレースになったのが「LIVIGNO SKYMARATHON」です。自分は登りが強くて先行逃げ切り型というのが勝ちパターンというのを認識したのがこのレースだったように思います。

チャンピオンを決めた「The SKY MASTERS」


― 以降エントリーはしたものの欠場したレースなどもありましたが、年間優勝を狙える位置、最終戦の「THE SKY MASTERS 」に臨むことになりましたね。

上田 このとき、ワールドシリーズの1位はオリオール選手で、2位が僕。「THE SKY MASTERS 」はボーナスレースでしかもポイントは2.5倍になる。どちらかが1位になればワールドシリーズのチャンピオンですし、5位以内の選手が優勝しても逆転されてしまう。もう1位をとりにいくことしか考えませんでした。

最初の登りでリードを奪い、中盤までで2位とは3分の差をつけました。3分は普通なら安全圏だと思うけど、そう思うと気が緩んでしまうのでそうは思わないようにしたのに、最後の下りで追いついてくる選手がいる。あいつしかいないな! と思っていたら、やっぱりオリオール選手でした。追いつかれて追い抜かれてしまった。下りだってもちろん手を抜いていたわけではなくて、むしろ自分史上最高のパフォーマンスをしていると思っていたので、かなり気持ち的には落ち込んだというか、仕方ないかな……とも思いましたが、彼とはよく同じレースで競い合っているから実力も傾向も知っている。オリオール選手だっていっぱいいっぱいのはずだ、と思い直し、最後の林道でスパートをかけて追い抜き、猛スピードで逃げました。後ろを振り返ったらすぐ後ろにいるから、逃げるのに必死でした。無事ゴールテープを切ることができて、ワールドシリーズのチャンピオンを手に入れることができました。

「THE SKY MASTERS」でゴールテープを切った瞬間 Photo:Sho Fujimaki

2018年までは海外のレースに出てもそんなに優勝できなくて、せいぜいトップ10に入るのがやっとという感じでした。今年は出場したすべてのレースで5位以内。自分の強みを知ったことが大きかったかなと思っています。それが登りが他の人より速く、最後に勝負強さを発揮できること。勝ちを重ねたことで、勝ちグセがついたというか勝負勘が身についたように思います。


今後の目標

―世界一になりましたが、今後の目標は?

上田 本当は今年チャンピオンになるのは僕の未来予想図にはなかったんです。正直もう少し時間がかかると思っていました。2020年からスキルアップのためにフランスに拠点を移す予定です。できればシャモニー近辺に住みたいと考えています。山を走る練習もしやすいし、草レースでもレベルが高い。自分を高めるためにもっと厳しいところに身を置いて戦うつもりです。そして、2023年にはウルトラトレイルに再挑戦、2026年にはウルトラトレイル・デュ・モンブラン(UTMB)での優勝を狙います。

来場者からの質問に応えるシーンも

トーク終了後は用意されたフィンガーフードをつまみながらの懇親会。上田選手との握手やサインを求める人で行列ができていました。来場者には上田選手がチャンピオンになった記念のシューズケースなどが配られ、インスタをフォローするとその場で上田選手もSUPPORTERSとして参加するプロジェクト「アリガト山」のオリジナルグッズがもらえる特典もありました。

握手やサインに応える上田選手

来場者に配られたグッズ

「アリガト山」オリジナルグッズの缶クージー

会場にはコロンビア モントレイルの新作シューズも展示された

懇親会でサインに応える上田選手

報告会のあとは質問タイム。熱心にメモを取られている方も

懇親会はドリンク、一口サイズの軽食を楽しみながら

■コロンビア モントレイル公式オンラインストア

2019/12/24